彼の体は、冷たくなっていた。
僕は何を言ったらいいか分からなかったし、
言葉が見つかることもなかった。
人の死に顔を初めて見た僕は、どんな顔をしていたんだろう?
夏の空は快晴のままでうるさいくらい蝉が鳴いていた。
想像できることに限界がある僕は、僕の未来なんて突拍子のないようなことに思えた。
数日経って、僕は学校に通っていた。
葬式が行われることもなかった彼の家庭内での立ち位置がここ数日間僕に苛立ちを抱かせたが、結局僕は何もしなかった。
僕の性根は腐っている。
彼の家に行って線香を焚くことぐらい出来たはずなのに、彼の家はどこかに引越してしまったらしい。
僕は平然と学校に通っている。
僕は頭の中から何かが欠落する音が聞こえた。