木の枝の隙間から月が顔を見せていて、
下を向いて歩いたあなたのことを照らしている。
そんな光がこの夜を全て照らしてくれればいいと願っている。
僕の好きな人は笑うと目尻に皺がよる人だった。えくぼが可愛らしくて、会話の第一声が「どうしたの?」から始まる人だった。
僕はきっと彼女のことを不安にさせていたんだろうし、心配をかけてしまっていたんだろう。
何て言えばいいんだろう。
僕が彼女に対して出来たことなんて、彼女が僕に対してしてくれたことの何万分の一にも満たないってことを言いたいんだ。
朝、目が覚めるときも、朝食を食べるときも、歯を磨くときも、着替えるときも、出かけるときも僕は彼女のことを考えている。
これが愛だなんて軽々しく言えない。
行動に満たない思考なんてただの自己満足だからさ。
誰かを本気で愛したいなら思考よりも行動が優先されるべきだった。