「やれやれ。」
どこかの誰かがそう呟いて、
賛同する人もいて、反応しない人もいる。
登場人物たちに対して感謝を述べる人もいれば、自分が作ったものに興味を示さない人もいる。
愛された人間にしか愛される人間像が輪郭と中身を伴ったまま生み出せないのであれば、そういう物語が出来て然るべきだ。
「カラー交差点」を右に曲がって、二番目の横道に入って突き当たりを右に曲がるんですよ。
そこに占い師のロゼンさんがいるんです。
「カラー交差点」がこの町で有名な交差点である理由は、信号の色に道路が変化するからだ。
進行方向が青になれば行く景色は青になる。
ロゼンさんは僕の叔父だ。
占い自体が訪れる目的ではなく、届け物を父親から預かっているからだ。
僕がロゼンさんのいるアパートに着いたとき、呼び鈴を鳴らしてもいなかったので、僕はドアノブに届け物を引っ掛けた。
もちろん、ロゼンさんに連絡した。
応答はなかった。
さて、昨日の僕と今日のロゼンさんは全く関わる予定もなかったはずだ。
そして、今日の僕と昨日のロゼンさんも同様だ。
時間は一方通行だ。僕が言葉を話すとき、未来の僕には聞こえるはずだ。
話を始めよう。
彼女の声が僕の中に留まっているうちに、僕は彼女に会いに行こうとした。
会うこと自体は簡単だ。
彼女はいつも同じ場所にいる。
僕はふらふらと道を彷徨っているだけだ。